幹部育成の効果は、育成を受けた本人だけに及ぶものだと思っていないでしょうか。
実際には、一人の幹部が育つと、その下にいる課長やスタッフの意識や動き方にまで、
静かに変化が広がっていきます。
この記事では、幹部育成が下の階層にまで連鎖していく現象について、
実例とともにお伝えします。
幹部育成の効果は、本人だけにとどまらない
結論から言います。
幹部育成の効果は、育成を受けた本人だけでなく、その下にいる階層にまで連鎖していきます。
上が育つことで、下の層の人材の粒も、大きくなっていくのです。
この連鎖は、狙って起こすものというより、上が変わることで、自然と生まれていくものです。
まずは、実際にあったエピソードから見ていきます。
一人が抜き出たことで、同世代がハッとした瞬間
同世代のメンバーの中から、事業統括クラスへと一人が抜け出たことがあります。
同世代のメンバーは、それを見て、ハッとしたはずです。
入社した当時は、採用担当や幹部が「自分たちより上の立場である」ことは、
当然のこととして受け止めていました。
しかし、それが、同世代の中から一人、抜け出た。
同時期に入社した仲間が、そこまで到達できる。
そう気づいたとき、そこには様々な感情が生まれたと思います。
「自分事化」できた瞬間です。悔しさ、不甲斐なさ、そして「自分もそこに行けるかもしれない」という気づき。
こうした感情が、周囲の人材にとって、大きな転機になりました。
選手層が厚くなったと実感する瞬間
日々、社員と話していると、選手層の分母が増えていることを感じる場面があります。
ただし、これは冷静に見れば、当然の側面もあります。
社員全体の人数が増えれば、その割合が変わらなくても、必然的に選手層全体の人数は増えていくからです。
大切なのは、単純な人数の増加だけでなく、
その中身、
つまり一人ひとりの「粒の大きさ」がどう変わっているかです。
なぜ連鎖するのか カフェラテのたとえ
要点:上の濃度が濃くなり、量も増えれば、下の層の色合いも自然と変わっていきます。
この連鎖を、カフェラテにたとえて考えることがあります。
エスプレッソが濃く、また量が増えれば、そこに注がれるミルクの色は、当然、茶色みを帯びていきます。
幹部という「エスプレッソ」が濃くなり、
その存在感が増していけば、その下に広がる「ミルク」、つまり組織全体の色合いも、自然と変わっていきます。
特別な仕掛けをしなくても、上の変化が、下の層に染み出していくのです。
連鎖が薄まってしまうケースもある
要点:研修対象の人数が増えることで、一人あたりにかけられる濃度が薄まる可能性があります。
一方で、連鎖がうまく起きない、あるいは時間がかかるケースもあります。
これは、相対的な人数との兼ね合いによるところもあります。
研修の対象となる人数が増えると、一人ひとりにかけられる時間や関わりの密度が下がり、
結果として研修そのものの濃度が薄まってしまう可能性があるのです。
濃いエスプレッソを、大量のミルクで薄めすぎれば、色合いはほとんど変わらなくなります。
連鎖を起こすには、育成の濃度そのものを保ち続ける工夫も必要です。
連鎖効果を、仕組みとして意識する
上が育てば、下も自然と育つ。
この現象は、決して偶然ではありません。
しかし、放っておいて自然に起きるものでもありません。
育成の濃度を保ちながら、対象となる人数を広げていくバランスを、意識的に設計する必要があります。
株式会社バリュー経営では、
経営の仕組み化を「計画化・明文化・組織化・定例化」という4つの段階で捉えていますが、
幹部育成における連鎖効果も、この仕組みの中に組み込んでおくべき視点です。
一人を育てることは、その人だけを育てることではありません。
その下に広がる層全体に、影響を与える取り組みだと捉えることが重要です。
こんな状態なら、相談を検討すべき目安
以下に複数当てはまる場合、自社だけでの整理には限界が来ている可能性があります。
・幹部育成の効果が、本人にしか及んでいないと感じている
・下の階層の人材育成に、どう波及させればいいか分からない
・次世代の候補が育つ環境が、社内にできているか判断がつかない
・育成対象の人数が増えるにつれて、研修の質が薄まっている感覚がある
一つでも心当たりがあれば、一度、外部の視点で現状を整理してみることをおすすめします。
よくある質問
Q. 幹部育成の効果は、本人以外にも及ぶものですか。
A. 及びます。一人の幹部が育つことで、同世代や下の階層の意識にも変化が生まれ、組織全体の人材の質が上がっていく傾向があります。
Q. 選手層が厚くなったかどうかは、どう判断すればいいですか。
A. 単純な人数の増加だけでなく、一人ひとりの「粒の大きさ」、つまり判断力や役割理解の深さを見ることが重要です。
Q. 育成対象の人数が増えると、質が下がることはありますか。
A. あります。研修の対象人数が増えると、一人あたりにかけられる密度が下がり、結果として育成の効果が薄まってしまう可能性があります。
Q. 連鎖効果は、どのくらいの期間で表れますか。
A. 一律の期間はありません。一人が明確に抜け出るタイミングや、周囲がそれをどう受け止めるかによって、表れ方は変わります。
Q. 年商5億円規模の会社でも、この連鎖効果は起きますか。
A. 起きます。規模の大小にかかわらず、一人の育成が周囲に与える影響という構造は変わりません。むしろ人数が少ない会社ほど、一人の変化が組織全体に伝わりやすい場合もあります。
■まとめ
幹部育成の効果は、育成を受けた本人だけにとどまりません。
一人が抜け出ることで、同世代や下の階層に自分事化の感情が生まれ、
組織全体の粒が大きくなっていきます。
これは、エスプレッソの濃さがミルク全体の色合いを変えていくことと似ています。
一人を育てることは、その人だけでなく、組織全体を育てることでもあります。
「仕組み化」で会社を変える。 経営者の自由と、組織の自立を届ける。
「社長がいなくても回り、利益が残り、社員が自立する会社へ」
株式会社バリュー経営 山縣正二郎
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