給与、融資、育成、計画...。5~15年の創業社長が必ず陥る8つの課題の正体
全部、過去の自分に当てはまる
先日、こんな8つの課題をまとめてみました。
「人に言えない」経営者の課題8選
改めて眺めてみたら、全部、過去の自分に当てはまっていた。
それも「同時期に」です。
今日は、その一つひとつを、正直に振り返ってみたいと思います。
①会社の給与設計に自信がない
「なぜ、その金額なのか」と聞かれたら、答えられなかった。
正直なところ、若い頃は、なんとなくの相場感と勢いで、給与を決めていました。
「このくらいでいいだろう」
「業界相場はこのあたりだろう」
そこに、明確な「基準」なんてなかった。
さらに悪いことに、給与を決める際の発想が「今、この瞬間」のことだけでした。
つまり、「売上と利益からしか考えていなかった」んです。
80名時代に起きた、悪夢のような事態
従業員が80名を超える時代。
その時、初めて「課長」「部長」という管理職層が出現し始めました。
ところが、その時になって気づいたんです。
課長から部長に昇進すると、給与が下がる。
なぜか。
それは、給与体系が「歩合給の比率が高すぎた」からです。
生産部の課長は、自分で営業成績を出していたので、歩合給で高い給与をもらっていました。
ところが、部長に昇進すると「マネジメント中心」になり、自分で営業をしなくなる。
当然、歩合給が下がり、結果として「給与が低下する」という、本来あり得ない逆転現象が起きていたんです。
部長からすれば「昇進したのに、給与が下がった。これって、降格ですか?」という、当然の疑問ですよね。
その時、初めて「給与設計って、こんなに奥が深いんだ」と気づきました。
もう一つの失敗:自分の役員報酬
そしてもう一つ、自分の役員報酬にも同じ過ちを繰り返していました。
兼任が多い時期は「兼任分だけ」給与が出ていました。
でも、途中で兼任を無くしても、
なかなか役員報酬を下げることができなかった。
理由は「シンプル」です。
「基準がないから」
給与を決めた理由が「その時の必要性」だったので、その必要性が消えても「基準」がないから、調整の仕様がないんです。
②金融機関との関係が浅い
「決算書を見せたくない気持ち」が、ずっと頭をかすめていた。
融資を受けるたびに、なんとなく緊張して、なんとなく乗り切って、それで終わっていました。
関係を「築く」という発想が、そもそもなかったんです。
必要なときだけ頼る。その場しのぎの付き合い方をしていました。
なぜ「決算書を見せたくない」のか
そして、ずっと付きまとっていた感情がありました。
それは「決算書を見せたくない」という気持ちです。
なぜか。
多角化経営をしていたので、事業ごとに利益率が異なっていました。
赤字の事業も、黒字の事業も、ごちゃごちゃと混在していたんです。
その「汚い決算書」を金融機関に見られたくない。
「この経営者、大丈夫か?」って思われたくない。
そういう「後ろめたさ」が、常にありました。
「仲間の会社」という認識への転換
でも、ある時、そんな感情が変わりました。
それは「金融機関の人も、基本は『一般の仕事人』なんだ」と気づいた時からです。
つまり、彼らは「経営者を追い詰める敵」ではなく、むしろ「同じビジネス世界で生きる仲間」だったんです。
決算書を見て「この経営は大丈夫か」と心配するのも、融資を検討するのも、全部「自分たちの仕事」だから。
その「当たり前」に気づいた時、初めて「金融機関との関係を『築く』」という発想が生まれました。
③従業員の期待に応えられていない
「表情を見ていて、分かった。あ、期待に応えられてないんだ。」
これは、一番苦しかったかもしれません。
みんな、何かを期待して入社してくれているのに、自分はその期待に、ちゃんと応えられていなかった。
応えたいという気持ちはあるのに、何をどう応えればいいのか、分かっていなかった。
「50人から100の期待」という現実
特に苦しかったのは「期待の多様性」でした。
従業員が50名を超える規模になると、気づくんです。
各従業員が持っている「期待」は多種多様だということに。
「給与を上げたい」「昇進したい」「スキルを磨きたい」「家族と過ごす時間が欲しい」「社会貢献したい」
50名がいれば、ざっと2つの期待を持っている計算でいくと——
50人 × 2つの期待 = 100の期待
その「100の期待」全部に応えることはできない。
でも、その時の自分は「全部に応えたい」という気持ちで、結果として「何にも応えられていない」という状態に陥っていました。
その「葛藤」が、従業員の表情に映っていたんです。
④経営計画を立てられない
計画という言葉を聞くだけで、少し身構えてしまう時期がありました。
目の前のことで精一杯で、数年先を見据えた計画なんて、正直、「絵に描いた餅」だと思っていました。
だから、立てても実行されない。
形だけの計画になっていました。
なぜ実行されないのか。
それは「計画の根拠」がないからです。
「来年の売上目標は3億」——でも「なぜ3億なのか」という根拠がない。
だから、現場も納得しないし、実行もされない。
結果として「計画を立てる作業」が「無駄な時間」に見えてしまうんです。
⑤幹部が育たない
「なんで、みんな育たないんだろう」
そう思っていた時期がありました。
今振り返ると、育つわけがなかったんです。
なぜなら「育てる仕組みも、任せる基準も、何も用意していなかった」から。
育たないのは当然だったと、今なら分かります。
⑥組織で動けない
結局、自分が動かないと、何も進まなかった。
「組織」という言葉を使ってはいたけれど、実態は「自分一人が全部を回している状態」でした。
営業の判断も、製造の判断も、企画の判断も、自分が全部していました。
「組織で動く」というのがどういうことなのか、体感として分かっていなかったんです。
⑦経営の判断基準がない
その都度、感覚で判断していました。
昨日はこう決めたのに、今日は違う結論を出す。
一貫性がないことに、自分でもうっすら気づいていたけれど、それを言語化する余裕がなかった。
なぜなら「判断基準」がないから、常に「どうしよう」と迷っている状態だったんです。
⑧やりたいことが分からない
これが、一番根っこの課題だったかもしれません。
目の前の業務はこなしているのに、「本当は何をしたいのか」を、自分自身に問いかけたことがなかった。
気づけば、日々の忙しさに、自分の想いが埋もれていました。
すべてが連動していた——8つの課題の根本原因
ここで、重大な気づきがあります。
この8つの課題は「独立した課題」ではないんです。
すべてが連動している。
「社長のやりたいことが分からない」が、全ての根源
例えば:
①給与設計に自信がない
↓
②だから、昇進時のキャリアパスが描けない
↓
③だから、従業員の「何ができるようになりたいのか」という期待に応えられない
↓
④だから、経営計画が立てられない(どの方向を目指すのか、見えていないから)
↓
⑤だから、幹部が育たない(育成の方向性がないから)
↓
⑥だから、組織で動けない(判断基準がないから、社長の指示を待つしかない)
↓
⑦だから、経営の判断基準がない
すべての根源は、⑧「やりたいことが分からない」なんです。
「やりたいことの規模」が変わると、全て変わる
さらに重要なのは、この気づきです:
社長のやりたいことの「規模」が変わると、給与も、役職も、組織構造も、全て作り直さなければならなくなる。
例えば、当初は「年商3億、従業員30名」を目指していたのに、途中で「年商10億、従業員200名」に目標が変わったとします。
そうすると:
- 給与体系も変わる
- 役職の定義も変わる
- 評価基準も変わる
- マネジメント体制も変わる
全部、変わるんです。
それなのに、当初の「給与体系」「役職定義」のまま、組織を大きくしようとするから「課長から部長で給与が下がる」みたいな矛盾が生まれるんです。
全部、過去の自分だった
こうして並べてみると、笑ってしまうくらい、全部当てはまります。
でも、これは決して恥ずかしいことじゃないと、今は思っています。
むしろ、この8つを一つひとつ、正直に認められたこと
が、次に進むための出発点だったんです。
人に言えない課題ほど、実は多くの経営者が、同じように抱えています。
だからこそ、今日はあえて、全部言葉にしてみました。
「5~15年の創業社長」へのメッセージ
もし、あなたが「5~15年の創業社長」で、これらの課題に心当たりがあるなら。
それは「あなたが経営者に向いていない」という証拠ではありません。
むしろ、その反対です。
組織が成長する過程で「誰もが通る道」なんです。
重要なのは「その課題に、いかに向き合うか」です。
向き合わない → 課題は深刻化 → 組織は崩壊
向き合う → 課題を言語化 → 仕組みに変える → 組織は自走する
その分岐点は「今この瞬間」かもしれません。
最後に
「人に言えない課題」は、あなただけのものではありません。
むしろ、その課題に真摯に向き合った経営者だけが、次のステージへ進めるんです。
あの日、8つの課題を全部認められた時。
初めて、自分は「経営者として、前に進む準備」ができたんだと思います。
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