現場のオペレーションは仕組み化できている。
マニュアルも整っている。
それでも、「幹部が育つかどうか」だけは、結局その人の資質次第になっている。
そう感じたことはないでしょうか。
現場の仕組み化がどれだけ進んでいても、
人材育成が仕組み化されていなければ、
その会社の仕組み化は、まだ半分しか終わっていません。
この記事では、なぜ人材育成が仕組み化の次のフェーズになるのか、実例とともにお伝えします。
仕組み化は、現場オペレーションだけでは完結しない
結論から言います。
現場の仕組み化がどれだけ進んでいても、
幹部が育つかどうかを「その人次第」にしている限り、仕組み化はまだ完成していません。
現場のオペレーションを仕組み化することと、
人を育てる仕組みを持つことは、まったく別の設計が必要です。
多くの会社が、前者だけを整えて満足してしまいます。
まずは、実際にあった実例から見ていきます。
「自分ができたこと」と「人に教えられること」は別物
要点:経営者自身の得意分野は伸ばせても、それ以外の領域は再現性なく育つのを待つしかなくなります。
営業出身の社長、製造出身の社長、管理部門出身の社長。
それぞれに得意な領域があり、
その強みを武器に会社を大きくしていきます。
ある社長は、学生時代にサッカーのキャプテンを務めていました。
社会人になり配属された部署で営業を担当し、
培ってきたコミュニケーション力と体力で成果を出し、課長として人をまとめる立場になり、
その後、営業系の会社で独立しました。
起業後も、成果は順調に出ていきます。
自社の社員に、営業のやり方を教えることはできました。
しかし、マネジメントを体系的に教えることや、管理部門の部長を育てることは、できませんでした。
運よく、後から入社した人物が、過去の実績をもとに成果を出し、部長になっていきました。
しかし、これは再現性のある育成ではなく、偶然に頼った結果です。
社長自身が得意な領域は伸ばせても、
それ以外の領域は、仕組みがない限り、育つかどうかを運に任せることになります。
現場で結果を出す人材が、マネジメントで結果を出すとは限らない
要点:技術を教えられることと、
マネジメントができることは、まったく別の能力です。
現場で結果を出し、話していても楽しい人物を抜擢したことがあります。
技術を教えることはできても、マネジメントができず、
部下がついてこなくなり、最終的にはその人物が離職してしまいました。
研修制度がないまま、丸ごと任せてしまったことが原因です。
現場の技術力と、マネジメントの能力は、別のスキルです。この違いを踏まえた育成の仕組みがなければ、同じ失敗は繰り返されます。
育成計画を仕組み化してから、達成率が各段に上がった
要点:育成計画を経営計画の一部として組み込むことで、業績とキャリアパスの両方が明確になります。
当社では、
売上計画、利益計画、出店計画、採用計画、そして育成計画を、一体のものとして設計しています。
これにより、各計画の達成率が、各段に上がりました。
具体的には、階層別の研修を実施しています。
初任者研修、3年目研修、管理者研修、部長研修という形です。
この結果、研修が業績に直結するようになっただけでなく、
社員自身も、自分のキャリアアップの道筋が見えるようになりました。
気づきのきっかけは、管理職の退職だった
要点:予備の人材がいなければ、管理職が抜けた瞬間、組織は立ち行かなくなります。
仕組み化の次に人材育成が必要だと気づいたきっかけは、管理職が退職した瞬間でした。
予備の母集団、つまり次に上がってこられる人材の層がなければ、
管理職が一人抜けただけで、組織は大きく揺らぎます。
人材育成計画は、広い意味では仕組み化の一部かもしれません。
しかし、現場オペレーションの仕組み化とは、明確に別の設計が必要なものだと、この経験から実感しました。
研修制度がなければ、幹部は放っておいて育たない
要点:幹部人材は、種をまいて水をやらなければ育たない植物と同じです。
部長クラス、事業統括クラス、次期社長クラス。
これらの人材は、放っておいて自然に出てくることはありません。
土に朝顔の種を入れても、水をやらなければ育たないのと同じです。
研修制度がある会社とない会社では、幹部が育つスピードに、明確な差が生まれます。
人材育成も、仕組みとして設計する
現場オペレーションの仕組み化が「計画化・明文化・組織化・定例化」の流れで進むように、
人材育成にも同じ流れが必要です。
・計画化:どの階層に、どんな育成計画を用意するか
・明文化:研修の内容を、教える人によってブレないよう言語化する
・組織化:階層別の研修体制を、誰が担うか整理する
・定例化:研修を、単発ではなく継続的な仕組みとして運用する
現場の仕組み化だけで満足せず、この人材育成の仕組みまで整えて、初めて仕組み化は完成に近づきます。
こんな状態なら、相談を検討すべき目安
以下に複数当てはまる場合、自社だけでの整理には限界が来ている可能性があります。
・現場オペレーションは仕組み化できているが、研修制度
・研修計画は作ったことがない
・現場で成果を出した人材を抜擢したが、マネジメントでつまずいた経験がある
・管理職が抜けたときに、次を担える人材がすぐに思い浮かばない
・幹部が育つかどうかを、その人の資質や運に任せてしまっている
一つでも心当たりがあれば、一度、外部の視点で現状を整理してみることをおすすめします。
よくある質問
Q. 現場の仕組み化ができていれば、研修制度は後回しでも大丈夫ですか。 A. 後回しにできるものではありません。現場の仕組み化と人材育成の仕組み化は、別の設計が必要なものです。どちらか一方だけでは、組織は安定して育っていきません。
Q. 研修制度は、どこから設計を始めればいいですか。 A. 階層ごとに、必要な研修内容を整理するところから始めます。初任者、中堅層、管理者、幹部といった階層ごとに、求められる能力が異なるため、一律の研修では機能しません。
Q. 現場で結果を出している社員を、そのまま昇格させるのは危険ですか。 A. 危険というより、注意が必要です。現場スキルとマネジメントスキルは別のものであり、研修制度がないまま昇格させると、本人にも部下にも負担がかかりやすくなります。
Q. 年商5億円未満の会社でも、研修制度は必要ですか。 A. 必要です。規模が小さいうちから育成の仕組みを整えておくことで、管理職の退職といった不測の事態にも対応しやすくなります。
Q. 研修制度を整えると、どのくらいで効果が出ますか。 A. 会社の規模や階層によって差はありますが、育成計画を経営計画に組み込むことで、業績とキャリアパスの両面で、比較的早い段階から変化を実感しやすくなります。
■まとめ
現場オペレーションの仕組み化がどれだけ進んでいても、
幹部が育つかどうかを「その人次第」にしている限り、仕組み化はまだ半分しか終わっていません。
現場で結果を出せることと、人を育てられることは別のスキルです。
研修制度がなければ、幹部は放っておいて育つことはありません。
自社の仕組み化が、現場オペレーションだけで止まっていないか、
一度振り返ってみることをおすすめします。
「仕組み化」で会社を変える。 経営者の自由と、組織の自立を届ける。
「社長がいなくても回り、利益が残り、社員が自立する会社へ」
株式会社バリュー経営 山縣正二郎
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