仕組み化に取り組む理由として、多くの経営者が「時間が欲しい」と口にします。
しかし、実際に時間ができたとき、その時間を何に使うか、
事前に考えている経営者は、意外と多くありません。
時間を作ること自体が目的化してしまうと、
せっかく生まれた時間を持て余し、方向性を見失うことがあります。
この記事では、浮いた時間の使い道について、実体験を交えてお伝えします。
時間を作ることは、ゴールではなくスタートに過ぎない
結論から言います。
仕組み化によって時間が生まれることは、ゴールではありません。
その時間を何に使うかを決めていなければ、時間ができた後に迷走することになります。
これは、決して机上の話ではなく、実際に自分自身が経験してきたことです。
時間を持て余した、8年間の実話
創業5年目のころ、仕組みがないまま、時間が取れるようになってしまったことがあります。
事業モデル自体が強く、安定した売上と利益が出ていたことが理由です。
最初の半年は出店が重なり現場を離れていましたが、出店が落ち着くと、することがなくなりました。
30歳から38歳ごろまでの8年間前後、そんな生活を送っていました。
自分が分かる分野、得意な分野、つまり現場の戦闘能力を上げるための研修や、頭の回転を速くする研修は行っていましたが、
それ以外に、やるべきことがなかったのです。
仕組みのないまま持て余した時間の反動は、後になって大きな形で返ってきました。
ただし、人生全体で振り返れば、この時期に様々な体験や経験ができたことも事実です。
その時間があったからこそ、後に責任を感じ、自分事として仕組み化に向き合えるようになった、という側面もあります。
同世代の経営者にも、同じ時期に店舗展開が流行り、多くの会社が挑戦していました。
しかし、ビジネスモデルだけで店舗が増えたとき、仕組みがないまま現場がごっそり辞め、一時的に現場に戻らざるを得なくなる、
というケースが各社で起きていました。仕組みがないまま拡大していく怖さは、言葉にできないものがあります。
時間の使い道が決まっている会社ほど、業績が早く伸びる
要点:時間が浮き始めるとき、
それは同時に、社員が役割で動き始めているサインでもあります。
浮いた時間ができている顧問先を見ていると、共通する傾向があります。
時間が浮き始める前に、計画や戦略が、
かなりの解像度で見えるようになっているということです。
つまり、時間が浮き始める状態は、
社員一人ひとりが役割で動き始めている状態と、ほぼイコールです。
こうした会社では、早ければ2カ月、遅くても6カ月ほどで、売上や利益が伸び始めます。
時間が浮くことと、業績が伸びることは、別々の現象ではなく、同じ土台の上に起きている現象です。
浮いた時間は「新規事業」「学び」「出会い」に使う
要点:浮いた時間を、次の柱をつくるための時間に再投資することが基本です。
現在、浮いた時間の多くを、新規事業の種探し、知の探究、
そして新しい出会いに使っています。
株式会社バリュー経営という経営支援事業自体も、
こうした時間の中から生まれたものです。
浮いた時間は、消費するものではなく、次の柱を作るために再投資するものだと捉えています。
意外な使い道は「後進育成」
要点:後進を育てることは、結果的に自分自身の時間をさらに生み出す投資でもあります。
浮いた時間を使っている、もう一つの領域が、後進育成です。
現在、次期事業統括の育成を進めています。
これは、事業統括の兼任を解くことが急務だと感じているためです。
この育成を進めることで、結果的に、次期後継者の育成にもつながっていると感じています。
後進育成は、一見すると時間を使う側の活動に見えますが、実際には、さらに時間を生み出すための投資でもあります。
使い道を決めずにいると、方向性を見失う
浮いた時間の使い道を決めないまま仕組み化を進めると、
社会貢献活動、必要以上のゴルフ、必要以上の余暇に時間が向かう傾向があります。
これらの活動自体が悪いわけではありません。
人生は一度きりですし、そうした時間が必要な時期もあるはずです。
ただし、使い道を決めないままこの状態が続くと、
モチベーションや方向性を見失い、市場感覚がズレていくことがあります。
時間ができたことに満足してしまい、
その先の再投資という発想が抜け落ちてしまうのです。
仕組み化と、時間の使い道はセットで設計する
浮いた時間の使い道は、仕組み化が完了してから考えるものではありません。
仕組み化に着手する段階から、「浮いた時間で何をするか」を、あらかじめ描いておくことが重要です。
使い道が決まっていれば、時間ができた瞬間から、迷わず動き出せます。
株式会社バリュー経営では、経営の仕組み化を「計画化・明文化・組織化・定例化」という4つの段階で捉えていますが、
浮いた時間の使い道も、この「計画化」の段階で一緒に描いておくべきものです。
こんな状態なら、相談を検討すべき目安
以下に複数当てはまる場合、
自社だけでの整理には限界が来ている可能性があります。
・時間を作ることばかりを目標にしていて、その先を考えていない
・過去に時間ができたが、結局現場に戻ってしまった経験がある
・後進育成に、まだ手をつけられていない
・浮いた時間の使い道について、明確な優先順位を持てていない
一つでも心当たりがあれば、一度、外部の視点で現状を整理してみることをおすすめします。
よくある質問
Q. 仕組み化で時間ができたら、まず何をすべきですか。 A. 新規事業の種探し、知の探究、後進育成など、次の柱を作るための時間に再投資することをおすすめします。使い道を決めていないと、時間ができても迷走しやすくなります。
Q. 浮いた時間を、家族との時間や余暇に使うのは良くないですか。 A. 決して悪いことではありません。ただし、その時間だけに偏り、次への再投資の視点が抜け落ちると、モチベーションや市場感覚が鈍っていく傾向があります。バランスが重要です。
Q. 時間ができても、何をすればいいか分からなくなることはありますか。 A. あります。仕組みのないまま時間だけができると、何をすべきか分からず、持て余してしまうことがあります。使い道を事前に描いておくことが、これを防ぐ鍵になります。
Q. 後進育成は、いつから始めるべきですか。 A. 早いほど良いといえます。後進育成は、時間を使う活動であると同時に、結果的にさらなる時間を生み出す投資でもあります。
Q. 時間が浮き始めたことは、業績にどう影響しますか。 A. 時間が浮き始めるタイミングは、社員が役割で動き始めているサインでもあります。多くの場合、2カ月から6カ月ほどで、売上や利益に良い変化が表れ始めます。
■まとめ
仕組み化で時間が生まれることは、ゴールではなくスタートです。
使い道を決めないまま時間だけが増えると、持て余し、方向性を見失うことがあります。
逆に、新規事業や学び、後進育成といった再投資先を決めておけば、時間が浮いた瞬間から、迷わず動き出せます。
仕組み化に着手する段階から、浮いた時間の使い道も一緒に描いておくことをおすすめします。
「仕組み化」で会社を変える。
経営者の自由と、組織の自立を届ける。
「社長がいなくても回り、利益が残り、社員が自立する会社へ」
株式会社バリュー経営 山縣正二郎
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