仕組み化のメリットというと、多くの場合「時間が浮く」という話に集約されがちです。
しかし、実際に仕組み化に取り組んで実感するのは、時間以外の変化のほうが、
経営者にとって大きな意味を持つことが少なくない、ということです。
この記事では、時間削減以外に、仕組み化によって実際に起きた変化を、7つの実例とともにお伝えします。
仕組み化の本当の価値は、時間以外の場所にも表れる
結論から言います。
仕組み化の効果は、時間の数字だけでは測れません。
問題への向き合い方、事業承継の準備、家族との時間、社員の自立といった、数字にしにくい部分にこそ、大きな変化が現れます。
投資判断の材料が「時間」だけになっていると、こうした効果は見落とされがちです。
まずは、実際にあった変化を一つずつ見ていきます。
効果1 問題が起きても、頭が真っ白にならなくなった
以前は、何か問題が起きるたびに、血の気が引くような感覚がありました。
今は、問題が起きても、まず事象を確認し、組織図上のどのポジションが対応すべきかを考えるようになっています。
目の前の対応はもちろんのこと、「次に同じ問題が起こらないようにするには、
どうするか」という視点が先に立つようになりました。
感情が優位になるのではなく、課題解決が優位になる。
この向き合い方の変化は、仕組みがあるからこそ生まれるものです。
イライラすることも、以前と比べて激減しています。
効果2 社長の役割と、自分の資質を切り分けて考えられるようになった
「社長の役割は何か」という問いに対して、自分の資質と、
役割そのものを分けて理解できるようになったことも、大きな変化です。
自分の感覚的な反応と、社長としてやるべき対応は、別のものです。
この切り分けができるようになったことで、日々の判断が安定しました。
効果3 後継者に「渡せるもの」が増えた
まだ、事業承継の予定があるわけではありません。
しかし、社内の仕組み化が進むにつれて、後継者候補の育成の道筋が見えるようになってきています。
経営者の仕事には、いくつかの軸があります。
株式のやり取り、
象徴としての立場の移行、
そして経営者としての実務。
この中で、株式以外の軸の多くは、
仕組み化によってカバーできる部分が大きい、と感じています。
「いつか渡す」というときに、渡せるものが用意されている状態は、経営者にとって大きな安心材料になります。
効果4 子どもとの時間が取れるようになった
子どもの運動に付き合う時間が、以前より取れるようになりました。
大きなことではないかもしれませんが、
こうした日常の積み重ねは、仕組み化が生活そのものに与える影響として、見落とせないものだと感じています。
効果5 新しい社員の立ち上がりが早くなった
本社管理部では、マニュアルの整備と改定が逐一進んでいます。
新しい人員が入ってきたとき、マニュアルがあることで、教育、研修、業務の習得が驚くほど早くなりました。
実際に、担当者から「こんなに楽だと思わなかった」という声が上がっています。
教育を都度、口頭で伝え直す必要がなくなったことは、
時間の削減以上に、教える側・教わる側双方の負担軽減につながっています。
効果6 社員が、役割に応じた責任範囲で判断するようになった
要点:資質と役割の違いを社員自身が理解することで、判断の質が変わります。
事業統括、部長、課長、それぞれの立場で
「自分のタイプとしては〇〇だが、役割としては△△」という考え方が、
社内に浸透してきています。
これは、本社の掃除の改善といった、ちょっとした場面でも感じられる変化です。
大きな成果として表れる前に、日々の小さな判断の質から変わっていきます。
効果7 クライアント先でも、同じ変化が起きている
要点:「霧が晴れた」という感覚や、会議の質の変化は、他社でも共通して起きています。
支援先のある社長からは、こんな言葉をいただいたことがあります。
「会社の運営がなぜかうまくいかない理由が、霧が晴れたようにわかった」
これは、非常に重要な変化です。
日々、なんとなく先が見えないまま進むのと、課題と解決方法がつながった実感を持って進むのとでは、
すべての取り組みに対する集中度がまったく違います。
たとえるなら、
決められた時間内で、小さなプールをスコップで片っ端から掘っていく宝石掘りのアトラクションのようなものです。
課題が分からないまま、無差別に手を動かし続けることを1年、2年と続ければ、集中力は途切れ、やがて諦めにもつながっていきます。
課題が見えれば、解決方法も自然と見えてきます。
また、別のクライアント先では、会議の中身そのものが変わったという声もいただいています。
いつも愚痴のような意見を会議に持ち込んでいたスタッフに対して、
工場長が「その話は会議で話す内容ではない」と、初めてはっきり返す場面があったそうです。
以前は、愚痴のような意見であっても、その場で聞き、解決策を伝えることが多くありました。
役職に応じた責任の範囲が明確になったことで、会議の質そのものが変わったのです。
時間以外の効果は、仕組み化の副産物ではなく本体である
これらの7つの効果は、時間削減の「おまけ」ではありません。
問題への向き合い方、事業承継の準備、社員の自立、会議の質。
これらはすべて、仕組みが土台にあるからこそ生まれる変化です。
株式会社バリュー経営では、経営の仕組み化を「計画化・明文化・組織化・定例化」という4つの段階で捉えています。
時間の削減効果は、この土台の上に表れる結果の一つに過ぎません。
投資判断の材料を「時間」だけに絞ってしまうと、こうした本質的な変化を見落としてしまいます。
こんな状態なら、相談を検討すべき目安
以下に複数当てはまる場合、自社だけでの整理には限界が来ている可能性があります。
・問題が起きるたびに、感情が先に動いてしまう
・後継者に何を渡せばいいか、具体的にイメージできていない
・新しい社員の立ち上がりに、毎回時間がかかっている
・会議で、役職に応じた責任範囲が曖昧なままになっている
一つでも心当たりがあれば、一度、外部の視点で現状を整理してみることをおすすめします。
よくある質問
Q. 仕組み化の効果は、時間削減以外にどんなものがありますか。 A. 問題への向き合い方の変化、事業承継の準備、社員の自立、会議の質の向上など、数字にしにくい変化が多くあります。時間削減は、その一部に過ぎません。
Q. 事業承継の予定がなくても、仕組み化に取り組む意味はありますか。 A. あります。仕組み化が進むことで、後継者候補の育成の道筋が自然と見えてきます。承継のタイミングになってから慌てるより、早い段階から取り組むほうが有利です。
Q. 社員の自立は、どのように進んでいきますか。 A. マニュアルの整備や、役割に応じた責任範囲の明確化を通じて、少しずつ進んでいきます。最初は小さな場面から、判断の質が変わっていくのが特徴です。
Q. 「霧が晴れた」という感覚は、具体的にどういうことですか。 A. 会社の課題と、その解決方法がつながって見える状態のことです。先が見えないまま取り組み続けるのと、課題が明確になった状態で取り組むのとでは、集中度も継続力も大きく変わります。
Q. こうした効果は、規模の小さい会社でも得られますか。 A. 得られます。効果の現れ方に規模による違いはありますが、感情面や社員の自立といった変化は、規模を問わず起こり得るものです。
■まとめ
仕組み化の効果は、時間削減だけでは語りきれません。
問題への向き合い方が変わり、事業承継の準備が整い、家族との時間が生まれ、社員が自立して動き始める。
これらはすべて、仕組みという土台の上に表れる変化です。
投資判断の材料を時間だけに絞らず、こうした時間以外の効果にも目を向けてみることをおすすめします。
「仕組み化」で会社を変える。
経営者の自由と、組織の自立を届ける。
「社長がいなくても回り、利益が残り、社員が自立する会社へ」
株式会社バリュー経営 山縣正二郎
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