昇格させれば、自然と育つ。
そう思って、立場だけを与えたことがあります。
2017年より前、経営の仕組み化に着手する前のことです。
この記事では、その失敗の経緯と、そこから得た教訓をお伝えします。
立場を与えるだけでは、人は育たない
結論から言います。
立場を与えれば、責任感が生まれ、自発的に学ぶ。
この考え方自体は、一定割合で正しいと、今でも思っています。
しかし、それだけでは足りません。
必要性に気づいても、何を学べばいいのか分からない場合があります。
また、断片的に学んでいても、全体がつかめていなければ、
偏りが生まれます。
2017年、この見落としによって、幹部の離職という結果を招いたことがあります。
現場の力だけで抜擢し、仕組みは何も用意しなかった
要点:経営の仕組み化に着手する前、現場での売上と頭の回転の速さだけを基準に、抜擢を行っていました。
経営の仕組み化に着手する前、マネージャーや事業統括への抜擢は、現場での売上と、頭の回転の速さだけで判断していました。
それさえあれば、立場を与えて任せれば、あとは自然と育つ。
そう思い込んでいました。
自分自身が、そうやって成長してきたからです。
立場を与えられ、責任感を持ち、自発的に学んできた経験があります。だからこそ、同じことが他の人にも起きるはずだと、疑いなく信じていました。
丸投げの結果、幹部は最終的に離職した
要点:社長の仕事のすべてを、仕組みのないまま任せてしまったことが、最終的な離職につながりました。
任せたマネージャー、事業統括には、集客から現場対応、採用、離職対応、売上管理まで、社長の仕事に含まれる領域を、ほぼすべて担ってもらっていました。
仕組みは、何もありませんでした。今振り返れば、これは丸投げそのものです。
最終的に、彼らは離職に至りました。
今から考えれば、当然の結果だったと思います。
責任感だけで、この量と幅の業務をこなし続けることは、誰にとっても現実的ではありませんでした。
気づいたのは、自分自身が経営を学ぶ必要があるということ
要点:全体像が見えていない状態で、育成だけを進めることには限界がありました。
この失敗から得た、直接的な気づきがあります。
まず、自分自身が経営を学ぶ必要がある、ということです。
全体が分かっていない状態で、育成だけを先に進めようとしても、うまくいかない。そう痛感しました。
立場を与えるだけでは、育たない。
立場と一緒に、何をどう学べばいいのかという道筋、つまり研修や仕組みが必要だったのです。
今なら、役割の明確化、兼任解除、研修をセットで用意する
要点:同じ状況が来たら、立場を与える前に、役割・兼任解除・研修という3つを整えます。
今、同じ状況が来たとしたら、対応はまったく違います。
まず、役割を明確化します。何を担い、何を担わないのかを、事前に整理します。
次に、兼任の解除です。
社長の仕事すべてを一人に背負わせるのではなく、担う範囲を適切に切り分けます。
そして、研修です。
立場を与える前に、あるいは同時に、必要な知識や考え方を学べる仕組みを用意します。
現在、株式会社バリュー経営で行っている階層別研修や、事業統括クラスへの直接的な関与は、この失敗があったからこそ整えてきたものです。
立場と研修は、セットで設計するもの
「立場が人を育てる」という考え方は、間違いではありません。
しかし、それだけでは、十分ではありません。
株式会社バリュー経営では、
経営の仕組み化を「計画化・明文化・組織化・定例化」という4つの段階で捉えていますが、
幹部育成における失敗の多くは、立場だけを先に与え、その後の明文化や研修の設計を後回しにしてしまうことから起きます。
過去の失敗を振り返ると、必要だったのは、立場を与える前に、役割・兼任解除・研修の3つを、あらかじめセットで用意しておくことでした。
こんな状態なら、相談を検討すべき目安
以下に複数当てはまる場合、自社だけでの整理には限界が来ている可能性があります。
・昇格させれば自然と育つと考え、研修を用意していない
・立場だけを与えて、業務範囲の切り分けをしないまま任せている
・過去に、任せた人材が離職してしまった経験がある
・自分自身が経営の全体像を、体系的に学んだことがない
一つでも心当たりがあれば、一度、外部の視点で現状を整理してみることをおすすめします。
よくある質問
Q. 「立場が人を育てる」という考え方は、間違っていますか。
A. 間違いとまでは言い切れません。責任感によって自発的に学ぶ人は一定数います。しかし、それだけに頼ると、何を学べばいいか分からず、偏った成長になるリスクがあります。
Q. 昇格させる前に、何を用意しておくべきですか。
A. 役割の明確化、兼任の解除、そして研修の3つをセットで用意しておくことをおすすめします。立場だけを先に与えると、業務範囲が際限なく広がりやすくなります。
Q. 経営者自身が、経営を体系的に学ぶ必要はありますか。
A. あります。全体像が見えていない状態で、幹部育成だけを進めようとしても、育成の設計自体が偏ってしまいます。
Q. 過去に任せて失敗した経験がある場合、どう振り返ればいいですか。
A. 「何を任せたか」だけでなく、「その業務範囲を、仕組みなしで担わせていなかったか」を振り返ることが重要です。任された側の業務量が、適切な範囲だったかを確認してみてください。
Q. 年商1億円未満の会社でも、同じ失敗は起こりますか。
A. 起こります。規模の大小にかかわらず、立場だけを与えて仕組みを用意しないという構造は、同じリスクを生みます。
■まとめ
2017年、立場を与えれば自然と育つと信じ、研修も仕組みも用意せずに任せた結果、幹部の離職という結果を招きました。
責任感だけで、社長の仕事のすべてを担わせることには限界があります。
この失敗から得た教訓は、立場を与える前に、役割の明確化、兼任の解除、そして研修をセットで用意しておくことでした。
「仕組み化」で会社を変える。 経営者の自由と、組織の自立を届ける。
「社長がいなくても回り、利益が残り、社員が自立する会社へ」
株式会社バリュー経営 山縣正二郎
■ こちらもおすすめ
このサイトを始めて読む方は、まず、この2本から読んでみてください。
1. 仕組みのない経営が、私に教えてくれたこと
https://value-keiei.com/blog/lessons-from-management-without-systems/
2. 「人に言えない」経営者の課題8選
https://value-keiei.com/blog/secret-ceo-challenges-8/
■ 相談・講座について
自社の利益改善や仕組みづくりについて、継続的にヒントを受け取りたい方は、株式会社バリュー経営の公式LINEにぜひご登録ください。
■ さらに深く
株式会社バリュー経営 公式サイト内では、もっと多面的な記事を多く投稿しています。
過去の任せ方を振り返り、今の育成体制を整理したいという方は、無料経営相談をご案内しています。
#幹部育成 #失敗談 #権限委譲 #研修の必要性 #マネジメント #中小企業経営

まだコメントはありません。最初のコメントを投稿してみませんか?