「仕組み化すると、経営が楽になる」
そう聞いても、正直、ピンと来ない経営者は多いと思います。
抽象的な話ではなく、
実際にどんな業務を仕組み化したら、どれくらいの時間が浮いたのか。
この記事では、その実例を数字と一緒にお伝えします。
小さなイライラの解消から、会議の短縮、役割分担の明確化まで。
仕組み化の効果は、決して大がかりなものだけではありません。
仕組み化のタイパは、大きな改革より小さな解消から生まれる
結論から言います。
仕組み化で生まれる時間は、大きな業務改革よりも、
社長が日常で感じている小さなイライラの解消から生まれることが多くあります。
イライラそのものは、経営の数字には直接表れません。
しかし、その小さな摩擦が積み重なることで、社長の集中力と時間は、確実に削られています。
まずは、実際にあった3つの事例から見ていきます。
実例1 小さなルール違反が、社長の集中を奪っていた
要点:ノック一つのようなルール違反でも、積み重なると大きな時間ロスになります。
ドアをコンコンと2回ノックしてから入ってきてほしい。
けれど、ノックをせずに入ってくる社員がいる。
一人には注意して直してもらっても、また別の社員が同じことをする。
社員数が多いほど、人の出入りが多い会社ほど、
こうした業務以外の小さなことに、上司はイライラします。
あるクライアント企業では、「トイレのスリッパを並べる」というルールがあっても、
並べてくれない社員に社長がイライラしてしまう、というケースもありました。
このイライラは、仕事中ずっと気になり続けるものです。
無意識に機嫌の悪い顔をしてしまい、社員との間にギクシャクした空気を作ることもあります。
気が散っていた時間が、1日20分だとしても、週5日で100分。
4週間で400分、つまり6時間以上のロスタイムです。
気づかないうちに、時間は奪われています。
実例2 会議の仕組みがないと、時間は上司の思いつき次第になる
要点:会議の型がないと、進行が個人任せになり、時間が読めなくなります。
参加すべき会議と、参加不要な会議。
この区別、そして会議の始まりから終わりまでのフォーマットが決まっていない会社では、
進行役が思いつきで会議を進めてしまうことがあります。
以前、我々の会社で働いていた課長に、こんな噂がありました。
その課長が話し始めると、気づけば90分以上が経過している。
「魔の空間?魔の時間?」を持っている、と。
振り返れば、仕組みがなく、会議の進行も課長任せでした。
当時は「教えたい、伝えたいからだよ」と口頭で受け止めていましたが、
その姿勢自体は素晴らしくても、
仕組みを整備していなかったのは、こちらの落ち度だったと今は思います。
会議のフォーマットを整えたことで、月1回90分だった会議は、30分に短縮されました。
実例3 役割が曖昧だと、決めるべき人が決められなくなる
要点:役割分担が不明確だと、意思決定が滞り、無駄な確認作業が発生します。
これは、実際にあった事例です。
社長と部長の役割分担が不明確で、部長が社長と課長の間を取り持つ「報告係」になってしまっていました。
部長自身が決定権者であることを理解できておらず、
社長は「それは部長が決めること」、部長は「それは社長が決めること」と思っている。
社内にこうした認識のズレが、静かに生じていました。
役割と各人の課業を明確にしたことで、この状態は解消に向かっています。
毎日5分の確認作業が、週5日、4週間で100分削減されました。
浮いた時間は、経営者としての次の一手に使われている
仕組み化で生まれた時間は、多くの場合、経営者の「外への動き」に使われています。
新規事業の種を探しに行く。
M&Aの業者と話す。
既存事業の高収益化のヒントを探しに行く。
業界団体の情報を拾いに行く。
先日、あるクライアント企業の社長から、こんな報告を受けました。
同業団体向けのイベントに登壇の依頼が来たそうです。
自社の紹介と商品の紹介ができ、社長自身の認知度も上がっている、とのことでした。(講演料も高くて案外良いんですwとも、話されていました。)
同時に、各事業を事業統括に任せられるようになり、自身が習った仕組み化のフォーマットを、そのまま部下に依頼することで、幹部育成もフォーマットを通じて進んでいる、と嬉しそうに話していました。
経営者によっては、ずっと仕事一直線で走ってきた分、家族との時間や、本当にやりたかったビジネスに時間を使えるよう、少しずつ準備を進めている方もいます。
浮いた時間の使い道は、事業の攻めであっても、人生の見直しであっても構いません。
大切なのは、その時間が「選べる状態」になっていることです。
仕組み化・組織改善の考え方
仕組み化のタイパを継続的に生み出すには、
思いつきで一つずつ解消していくのではなく、仕組みとして設計しておくことが必要です。
株式会社バリュー経営では、
経営の仕組み化を「計画化・明文化・組織化・定例化」という4つの段階で捉えています。
・計画化:どの業務に時間が奪われているか、洗い出す
・明文化:ルールや役割分担を、口頭ではなく言葉として残す
・組織化:一度作ったフォーマットを、部下にも使わせる形にする
・定例化:定着しているかを、定期的に確認する仕組みをつくる
実は、この仕組み化に着手した原体験には、こんな出来事があります。
社員が50名を超えたころ、一人ひとりから意見や要望を聞いていくと、一人3個の要望でも150個になる。それを考えただけで、気が重くなった夜がありました。
また、30歳のころ、ビジネスオーナー的な立ち位置になったものの、現実は強いビジネスモデル頼りの経営でした。現場には仕組みがあっても、計画や戦略、戦術、行動には仕組みがなかった。
「このままだと、いつか会社が暴発する」
そうふと思った頃、一事業が傾き、約3,000万円の損失と、店舗撤退を経験しました。
仕組み化は、この経験があったからこそ、真剣に取り組むようになったテーマです。
こんな状態なら、相談を検討すべき目安
以下に複数当てはまる場合、自社だけでの整理には限界が来ている可能性があります。
・社員の細かい行動に、日常的にイライラしてしまう
・会議の進行が、特定の人の裁量に任されている
・誰が最終判断をするのか、社内で認識がズレている
・仕組み化の効果を、数字で確認したことがない
一つでも心当たりがあれば、一度、外部の視点で現状を整理してみることをおすすめします。
よくある質問
Q. 仕組み化のタイパは、どうやって数字で確認すればいいですか。 A. まずは「今、何にどれだけ時間を使っているか」を、Before/Afterで比較できる形にすることから始めます。会議時間、確認作業の頻度など、日常の小さな業務から測るのが現実的です。
Q. 小さなイライラの解消も、仕組み化と呼べるのでしょうか。 A. 呼べます。仕組み化は大がかりな業務改革だけでなく、ルールを明文化し、繰り返し起きる問題を防ぐことすべてを含みます。むしろ小さな解消の積み重ねが、時間を生み出す土台になります。
Q. 年商3,000万〜1億円規模でも、こうしたタイパは得られますか。 A. 得られます。規模の大小より、仕組み化に着手するかどうかが分かれ目です。社員数が少ないうちに整えておくほうが、後の負担は軽くなります。
Q. 浮いた時間を、何に使うべきか迷っています。 A. 正解は一つではありません。新規事業の検討、既存事業の高収益化、家族との時間など、経営者自身が「選べる状態」を作ることがまず重要です。
Q. 仕組み化に取り組むタイミングは、いつが適切ですか。 A. 「まだ大丈夫」と感じているうちから着手するのが理想です。多くの場合、限界を感じてからでは、対応できる範囲が狭くなっています。
■まとめ
仕組み化で生まれるタイパは、大きな改革だけでなく、ノック一つ、会議一つ、役割分担一つといった、日常の小さな摩擦の解消から生まれます。
経営者は気づいていませんが、小さなイライラの解消は仕組みが浸透し始めたことの証明の一つです。このイライラの解消は、必然的に働いている人の脳内にも伝わっています。
働きやすい環境になっているのです。
仕組み化の効用は経営者だけのものでは、ありません。タイパの効用は、×社員数になります。
また、経営者の浮いた時間は、新規事業の検討にも、家族との時間にも使えます。大切なのは、その時間が「選べる状態」になっていることです。
自社にも、こうした小さな時間ロスが眠っているかもしれません。
まずは、日常の中で気になっている小さな違和感から、洗い出してみることをおすすめします。
「仕組み化」で会社を変える。
経営者の自由と、組織の自立を届ける。
「社長がいなくても回り、利益が残り、社員が自立する会社へ」
株式会社バリュー経営 山縣正二郎
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1. 仕組みのない経営が、私に教えてくれたこと
https://value-keiei.com/blog/lessons-from-management-without-systems/
2. 「人に言えない」経営者の課題8選
https://value-keiei.com/blog/secret-ceo-challenges-8/
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