「仕組み化にかける時間もお金もない」
そう考えている経営者は、実は少なくありません。
しかし、仕組み化を先送りにしている間にも、会社は静かにコストを払い続けています。
目に見えないだけで、確実に発生しているコストです。
この記事では、仕組み化しないことで、
毎月・毎年、実際にどんなコストが発生しているのかを整理します。
仕組み化しないことも、一つの選択であり、コストを伴う
結論から言います。
仕組み化に着手しないという選択は、コストがゼロという意味ではありません。
むしろ、目に見えない形で、毎月・毎年コストを払い続けている状態です。
このコストが見えにくいのは、請求書として届かないからです。
社長の時間、社員の入れ替わり、意思決定の遅れ。どれも、決算書の科目には現れません。
まずは、実際にどんな形でコストが発生しているのかを見ていきます。
見えないコスト1 社長が「未来をつくる仕事」に時間を使えていない
社長の時間の価値は、一律の時給で考えるものではありません。
過去の作業に関わる仕事、
現在の対応に関わる仕事、
未来をつくる仕事。
どの時間軸の仕事をしているかによって、本来、その時間の価値はまったく違います。
作業的な仕事に、社長の時間を使い続けることは、
その差額分だけ、見えないコストを払い続けていることになります。
ここで、注意しておきたいことがあります。
社長自身が、未来をつくる仕事に自信がなく、苦手意識から現場作業に逃げている、というケースもあります。
社長の給与を「役割に対する給与」だと考えると、
これは高い給与をもらいながら、役割を放棄している状態とも言えます。
厳しい言い方に聞こえるかもしれませんが、
この視点は、見えないコストを考えるうえで欠かせません。
見えないコスト2 現場対応に追われ、戦略をつくる時間がなくなる
仕組みがない会社では、部長から確認や決断を求める連絡が毎回入ります。
時には、部長を飛ばして課長から直接、確認の連絡が入ることもあります。
こうした連絡が日常的に続くと、社長の時間は、現場対応に少しずつ削られていきます。
実際に、「現場に人が足りず、自分が出続けていたので、今年も戦略を作る時間がなかった」という経営者がいます。
この機会損失は、いくらになるでしょうか。
戦略を作らなかった年に、
本来得られたはずの新規事業、業務改善、資金繰りの改善。
これらは数字にしにくいものですが、確実に発生していたはずの損失です。
見えないコスト3 離職の連鎖が生む、目に見えにくい負担
社員の離職が多い会社では、採用しては辞める、採用しては辞める、という状態が続きます。
課長や部長は、辞められないように日々気を配ります。
これも、仕組みがないからこそ起きていることです。
入ってみたら方向性が違った。
条件が違った。
社内の雰囲気が悪かった。
未来が描けない。
ビジョンがない。
評価があやふや。
理由は様々ですが、根本には、こうした状態を防ぐ仕組みがないことがあります。
この状態が続くことで発生するコストは、採用コストや教育コストだけではありません。
面接にかかる時間コスト。
新しい社員への気遣いコスト。
そして、「また辞めるのではないか」という、日々の心的コストです。
これらは、決算書には現れませんが、確実に会社の体力を削っています。
見えないコスト4 社員が重ねる一年は、取り戻せない
もう一つ、多くの経営者が見落としているコストがあります。
働いている社員全員が、この一年で、確実に一歳ずつ年齢を重ねている、という事実です。
これを見えないコストとして捉えると、
数字では表せない、計り知れないインパクトがあります。
あまり良い話ではありませんが、
世の中には、いくらお金を払ってでも一歳若返りたい、と思う人が大勢います。
それだけ、人の一年には価値があるということです。
仕組み化を先送りにしている間、社員は誰一人として、その時間を取り戻すことができません。
仕組みがないまま過ぎていく一年と、仕組みが整った状態で過ごす一年では、
その一年で得られる成長も、成果も、まったく違うものになります。
実際に、あるクライアント先の社長は、
試算を進める中で、「社員が全員、一年、二年、三年と年を重ねていた」という事実に、
大きな気づきを得ていました。
売上や利益の数字よりも、この気づきのほうが、行動を変えるきっかけになることがあります。
見えないコストを、まず認識することから始める
見えないコストは、請求書として届かないからこそ、後回しにされやすいものです。
しかし、社長の時間、社員の離職、そして社員一人ひとりが重ねていく時間。
これらはすべて、仕組み化に着手しない限り、今この瞬間も発生し続けています。
株式会社バリュー経営では、
経営の仕組み化を「計画化・明文化・組織化・定例化」という4つの段階で捉えています。
この最初の一歩は、
今、自社にどんな見えないコストが発生しているかを、認識することから始まります。
こんな状態なら、相談を検討すべき目安
以下に複数当てはまる場合、自社だけでの整理には限界が来ている可能性があります。
・部長や課長から、確認の連絡が日常的に入っている
・今年、戦略を作る時間が取れなかったと感じている
・採用しては辞める、という状態が続いている
・社員が重ねている一年を、コストとして考えたことがない
一つでも心当たりがあれば、一度、外部の視点で現状を整理してみることをおすすめします。
■よくある質問
Q. 見えないコストは、どうやって金額換算すればいいですか。 A. すべてを金額に換算する必要はありません。まずは、社長がどの時間軸の仕事に時間を使っているか、離職によってどんな負担が発生しているかを、書き出すところから始めます。
Q. 社長の時給は、どう考えればいいですか。 A. 一律の時給で考えるのではなく、未来をつくる仕事、現在の対応、過去の作業整理と、時間軸によって価値が異なると捉えることが重要です。作業的な仕事に多くの時間を使っている場合は、注意が必要です。
Q. 離職による見えないコストは、具体的に何が含まれますか。 A. 採用コスト、教育コストに加えて、面接にかかる時間、新しい社員への気遣い、「また辞めるのでは」という心的な負担も含まれます。
Q. 「社員が一年重ねる」という考え方は、実務にどう活かせばいいですか。 A. 数字に置き換えることが目的ではなく、仕組み化を先送りにすることの重みを実感するための視点です。この一年を、仕組みのある状態で過ごせていたか、を振り返るきっかけになります。
Q. 年商1億円未満の会社でも、見えないコストは発生しますか。 A. 発生します。規模の大小にかかわらず、社長の時間の使い方や、離職の連鎖は起こり得ます。規模が小さいうちほど、見えないコストの影響は相対的に大きくなる場合もあります。
■まとめ
仕組み化しないという選択は、コストがゼロではありません。
社長が未来をつくる時間を使えていないこと、
現場対応に追われて戦略を作れないこと、
離職の連鎖、
そして社員全員が重ねていく一年。
これらはすべて、見えないまま発生し続けているコストです。
まずは、自社にどんな見えないコストが発生しているのか、
書き出してみることから始めてみてください。
「仕組み化」で会社を変える。
経営者の自由と、組織の自立を届ける。
「社長がいなくても回り、利益が残り、社員が自立する会社へ」
株式会社バリュー経営 山縣正二郎
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1. 仕組みのない経営が、私に教えてくれたこと
https://value-keiei.com/blog/lessons-from-management-without-systems/
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