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社長が事業計画を作らなくなった日に起きたこと

社長が事業計画作成を手放せない理由は能力不足ではなく「思い込み」かもしれません。事業統括に任せることで計画精度が向上した実例から、権限委譲のコツを学びます。


事業計画や年間計画を、いつまでも社長自身が作り続けている。

そんな状態に、心当たりはないでしょうか。

事業統括や幹部に任せたいと思いながらも、「計画は社長が作るもの」という感覚から、

なかなか手放せずにいる経営者は多いと思います。

この記事では、実際に事業計画の作成そのものを事業統括に渡した経緯と、その後に起きた変化をお伝えします。

 

事業計画は、社長が作るものだという思い込みが、任せることを阻んでいる

結論から言います。

事業計画を社長がいつまでも作り続けているのは、

多くの場合、能力の問題ではなく、「計画は社長が作るべきもの」という思い込みが原因です。

 

現場感覚と市場感覚を持つ事業統括に任せることで、

計画の精度そのものが上がるケースは、決して珍しくありません。

まずは、実際に計画立案を渡していった経緯から見ていきます。

 

 

2期をかけて、少しずつ渡していった

要点:一気に手放すのではなく、読み合わせと修正を重ねながら、段階的に計画作成の主体を移していきました。

2期前から、経営計画書の作成そのものを、事業統括に依頼するようになりました。

それ以前の2期は、事業統括3名と事業別の計画を作りながら、全体の読み合わせと修正を重ねる形で進めていました。

長期の未来像や方針、ルールについては、マネージャー陣4名も加わり、別枠で作成していました。

 

その後、新しい事業統括に事業を渡すタイミングで、生産本部長と事業統括が中心となって事業計画を作っていく体制に切り替えました。

 

正直に言うと、それまでは、事業計画の90%以上は社長が作り、一部だけ事業統括に入ってもらう形であるべきだ、と考えていました。

しかし、現場感覚も市場感覚も持っている事業統括に任せることで、計画そのものへの理解が進み、結果的に良い方向に働きました。

課長に向けて計画を語るとき、言葉の乗り方が、社長が語るのとはまったく違うのです。

 

任せた直後、修正点はほとんどなかった

要点:売上計画からの逆算で各事業に落とし込む力は、社長自身よりも高い場合があります。

任せた直後、正直なところ、クオリティの心配をしていました。

しかし実際には、生産本部長が、

売上計画からの逆算で各事業へと計画を落とし込んでくれたため、修正点はほとんどありませんでした。

これは、想定外の結果でした。

計画立案を渡すことは、精度を落とすリスクだと思っていたからです。しかし、現場に近い立場だからこそ、逆算の精度が上がる場合がある、ということを実感しました。

 

 

 

任せた後の報告の受け方

要点:作成時は承認、期中は定例の報告で確認し、社長は全社戦略のヒントを拾う立場に回ります。

計画作成時は、スプレッドシート上で内容を確認し、承認した上で書面にしています。

 

期中は、週報、月次会議、四半期の報告を通じて確認しています。

ここで社長として意識しているのは、細部を管理することではなく、

全社のグループ戦略を考える上でのヒントを拾うことです。

 

計画の細部にまで口を出すのではなく、報告を受けながら、全体の戦略に活かせる材料を探す、という立場に変わりました。

 

決定的だったのは「計画を超えてくる」瞬間

要点:週次、月次、年間で計画を超える結果が続いたことで、任せる確信が生まれました。

事業統括が計画を自走できると確信した決定的な瞬間は、

週次、月次、年間を通じて、計画を超えてくる結果が続いたことです。

 

正直、この店舗数の規模になると、自分自身では、ここまで細部まで作り込んだ計画は作れないと感じています。

 

この「作り込む力」に関しては、生産本部長のほうが優れている、と実感しました。

任せることは、単に手が空くということではなく、社長一人では到達できなかった精度に、会社を導くことでもあると気づいた瞬間です。

 

計画立案を渡すことは、精度を落とすことではない

事業計画の作成を任せることに、不安を感じる経営者は多いと思います。

しかし、現場感覚と市場感覚を持つ人材に、段階を踏んで渡していけば、精度が落ちるどころか、

むしろ社長一人では到達できない精度にたどり着くことがあります。

 

株式会社バリュー経営では、

経営の仕組み化を「計画化・明文化・組織化・定例化」という4つの段階で捉えていますが、

この「計画化」そのものを、社長一人が担い続ける必要はありません。誰が計画を作るかも、仕組みとして設計できる部分です。

 

こんな状態なら、相談を検討すべき目安

以下に複数当てはまる場合、自社だけでの整理には限界が来ている可能性があります。

・事業計画や年間計画を、いつまでも社長が作り続けている

・幹部に計画立案を任せる具体的なイメージが湧かない

・任せた後、どう報告を受ければいいか分からない

・任せることで精度が落ちるのではないかと不安に感じている

一つでも心当たりがあれば、一度、外部の視点で現状を整理してみることをおすすめします。

 

よくある質問

Q. 事業計画は、いきなり全部を任せてしまって大丈夫ですか。 A. 段階を踏むことをおすすめします。今回の実例でも、2期にわたり、読み合わせと修正を重ねながら、少しずつ計画作成の主体を移していきました。

Q. 任せた後、社長は計画にどこまで関わるべきですか。 A. 作成時は承認、期中は週報・月次・四半期の報告で確認するのが一つの目安です。細部に口を出すより、全社戦略のヒントを拾う立場に回ることをおすすめします。

Q. 事業統括に任せると、計画の精度が下がるのではと心配です。 A. 必ずしも下がるとは限りません。現場感覚と市場感覚を持つ人材に任せることで、逆算の精度がむしろ上がるケースもあります。

Q. 任せる相手は、どんな人材が向いていますか。 A. 現場感覚と市場感覚の両方を持ち、数字への理解がある人材が向いています。今回の実例では、生産本部長が売上計画からの逆算に長けていました。

Q. 年商5億円規模でも、計画立案を任せることは可能ですか。 A. 可能です。規模の大小より、段階を踏んで渡していく設計があるかどうかが重要です。


■まとめ

事業計画を、いつまでも社長が作り続ける必要はありません。

現場感覚と市場感覚を持つ事業統括に、段階を踏んで計画立案を渡すことで、

精度が落ちるどころか、社長一人では到達できない精度にたどり着くことがあります。

週次、月次、年間で計画を超えてくる結果が続いたとき、

それは「任せて大丈夫だ」という確信に変わります。

 

「仕組み化」で会社を変える。 経営者の自由と、組織の自立を届ける。

「社長がいなくても回り、利益が残り、社員が自立する会社へ」

 

株式会社バリュー経営 山縣正二郎

 

 

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