新規事業は何のためにする?最初に「軸」を決めないから失敗する
新規事業をやりたいと思う経営者は多いが、その「なぜ」が曖昧なまま始めてしまうケースも少なくありません。新規事業を始める前に決めるべき「軸」について解説します。
新規事業をやりたい。 そう思う経営者は、非常に多くいます。
理由は様々です。儲かりそうだから。
経営者としてチャレンジしたいから。
本業が落ち込むのが怖いから。
しかし、その「なぜ」が曖昧なまま、新規事業を始める経営者も、非常に多いのが実情です。
この曖昧さこそが、失敗を生み出す原因になります。
本記事では、新規事業を始める前に決めておくべき「軸」について整理します。
結論:新規事業を始める理由は、大きく分けて3つの「軸」に整理できる
新規事業をする理由は、大きく分けると3つになると考えています。 (年商規模や切り口によっては別の見方もありますが、本記事ではこの3つを前提に話を進めます。)
第1:会社の未来をつくるため 売上を増やしたい。利益を増やしたい。会社を次のステージへ連れていきたい。 これは、「会社軸」が動機になっているパターンです。
第2:経営者がやりたいから このビジネスをやってみたい。この市場に挑戦したい。自分の「やりたい」を実現したい。 これは、「社長軸」「社長の人生軸」が動機になっているパターンです。
第3:本業の売上が沈んできたから 今の事業は、いずれ限界が来る。だから別の柱が必要だ。リスク回避のため。 これは、「危機感」が動機になっているパターンです。
なぜ、「軸の混在」が判断をブレさせるのか
多くの経営者は、この3つの軸が混在したまま、新規事業を始めてしまいます。
本来は「会社軸」で判断したいはずなのに、気づけば「社長の人生軸」で判断している。
本来は「利益が必要」なはずなのに、気づけば「社長のやりたいこと」を優先している。
この軸の混在が、ブレた判断を生み出す原因になります。
自分自身の体験から学んだこと
私自身が新規事業を始めたときも、理由はシンプルでした。
1つ目は、知人の会社が新規事業をやっているのを見て、「あの人ができるなら、自分たちもできるだろう」と考えたこと。これは「他人軸」の判断でした。
2つ目は、利益が残ったから、「余裕ができたし、新しいことをやってみるか」と考えたこと。
これは、お金があるからという、ルーズな判断でした。
3つ目は、現業がいずれきつくなることが想像できたから、「業界はいずれ飽和する。だから別の柱が必要だ」と考えたこと。これは、危機感からの動機でした。
この3つが混在したまま、新規事業を始めました。 結果として、失敗したものもあれば、成功したものもあります。
振り返れば無茶苦茶なことをしてきましたが、一つだけ、確かな成果もありました。
自分事化力の非常に高い経営層が育ったことです。
そして、新たにそういう人材が、一人また一人と増えています。
これは見方を変えれば、幹部人材の教育に、新規事業という強烈なストレスがかかったこと、そして「今のままではまずい」という、目には見えない緊張感の中で、その結果が培われたのだと思っています。
それでも、あの混在した判断がなければ、もっと確度の高い判断ができたはずだ、というのも、正直な実感です。
極論:経営者がやりたければ、やればいい
ここで、大事な視点を提示したいと思います。 それは、極論として、経営者がやりたければ、やればいい、ということです。
なぜなら、経営者の責任に紐づいて、会社は存在しているからです。
経営者の選択が、会社のすべての判断につながります。
そういう意味では、経営者は自由に選べばいいのです。
その自由の中で、決断する責任を持てるのであれば。
その覚悟があるなら、やればいいと思います。
それでも、基本軸としての推奨基準はある
とはいえ、基本的な考え方があるのも事実です。 それは、一事業で年商10億円程度を超え、仕組み化ができた後に、新規事業に取り組むべきではないか、という考え方です。
一事業で年商10億円に達しているということは、その事業が十分に成熟していることを意味します。 仕組み化ができているということは、社長依存を脱却できていることを意味します。 この「成熟」と「自走」という前提があって初めて、新規事業に挑戦しても、本業が止まらずに済みます。
新規事業をする、具体的な目的を明確にする
新規事業を始める前には、「何のために新規事業をするのか」を明確にしておくことも大切です。
目的1:売上を増やしたい — 「年商15億にしたい」という具体的な数字があるか
目的2:利益を増やしたい— 「現業の利益率が30%だから、新規事業で別の利益源が欲しい」という具体性があるか
目的3:顧客リストが欲しい— 「新規事業の顧客が、本業の顧客になる可能性がある」という戦略的な連携が見えるか
目的4:社員を増やしたい— 「今は人員に余裕がないが、新規事業ならそこに人員を配置できる」という人事戦略があるか この具体性がないまま新規事業を始めると、迷走してしまいます。
「軸を決める」ことの重要性
ここが最も重要なポイントです。 それは、始める前に、しっかりとスタンスを決めることです。
- 会社軸で判断するのか:会社の将来のための必須の新規事業として、数字で判断する
- 社長軸で判断するのか:経営者がやりたい事業として、覚悟で判断する
- 危機感軸で判断するのか:現業の衰退への対抗として、タイミングで判断する
どの軸で判断するのかを、最初に決める。 この軸の決定が、その後のすべての判断の基準になります。
軸がズレたときに起きること
もし「会社軸」で始めた新規事業が、途中から「社長の人生軸」に変わったら、どうなるでしょうか。
予算配分が変わります。
人員配置が変わります。
タイミングが変わります。
この軸のズレが、新規事業の迷走を生み出します。
新規事業が失敗する典型的なパターン
新規事業が失敗する典型的なパターンは、次のような流れをたどります。
軸が決まっていない → 判断がブレる → 資源配分がズレる → 成果が出ない → 撤退する
この悪循環の最初の一手は、「軸が決まっていない」ことにあります。
まずは自社の新規事業の軸を客観的に整理したい方へ
株式会社バリュー経営では、新規事業開始前の軸の整理について無料相談を承っています。
新規事業開始前のチェックリスト
もし新規事業を検討しているなら、次の問いに向き合ってみてください。
- 自社の新規事業の「軸」は何か
- その軸で判断する基準は明確か
- その基準で判断し、実行する責任を覚悟できているか
- 会社軸で始めるのか、社長軸で始めるのか
- その混在がないか この問いと向き合うことが、新規事業の成功を決めます。
仕組み化・組織改善の考え方
新規事業は、「何をするのか」ではなく、「何のためにするのか」から始まります。 その「何のため」が、軸の決定を生み出します。
その軸の決定が、すべての判断基準を決めます。 その判断基準が、新規事業の結果を決めます。 つまり、最初の軸の決定が、すべてを決めるのです。
この重要性を理解した経営者だけが、成功する新規事業を作り出す可能性を高めることができます。
こんな状態になったら、相談を検討すべき
目安 以下に複数当てはまる場合は、自社だけでの整理に限界が来ている可能性があります。
- 新規事業を検討しているが、その理由が明確に言語化できていない
- 会社軸、社長軸、危機感軸が、混在したまま判断している
- 具体的な目的(売上、利益、顧客リスト、人員配置など)を、数字で語れない
- 本業がまだ十分に仕組み化されていない段階で、新規事業を検討している
よくある質問
Q. 経営者がやりたいという理由(社長軸)だけで、新規事業を始めてもよいのですか。 A. 極論としては、経営者の自由な選択として成立します。ただし、その場合は「覚悟」を判断基準とし、結果への責任を引き受ける姿勢が求められます。
Q. 年商10億円に達していない段階では、新規事業をすべきではないのですか。 A. 一つの目安として、一事業が十分に成熟し、仕組み化ができた後の方が、本業を止めずに新規事業へ挑戦しやすいという考え方です。絶対的な基準ではありませんが、参考にできる指針です。
Q. 複数の軸が混在してしまった場合、途中で軌道修正できますか。 A. できます。まずは現在、どの軸で判断が行われているのかを振り返り、あらためて軸を定め直すことから始めることをおすすめします。
Q. 新規事業の目的を数字で語れない場合、どうすればよいですか。 A. まずは「なぜこの新規事業をやりたいのか」を、売上、利益、顧客リスト、人員配置といった具体的な観点に分解してみることから始めるのが現実的です。
Q. 無料相談では、どのようなことが分かりますか。 A. 自社の新規事業における軸の状況を整理し、判断基準を明確にするための具体的なステップをお伝えします。
まとめ
新規事業は、「何をするのか」ではなく、「何のためにするのか」から始まります。 会社軸、社長軸、危機感軸という3つの軸のうち、どれで判断するのかを最初に決めることが、新規事業の成否を大きく左右します。 軸の混在に気づき、明確な判断基準を持つことが、成功する新規事業への第一歩になります。
自社の新規事業の軸について整理したい方は、無料相談をご利用ください。 何のために新規事業をするのか、一緒に整理します。
