結論から言えば、1店舗ずつ複数の業態を展開していく多角化経営は、始めた当初は非常にうまくいきやすい形態です。
しかし、社長も、各業態を任せている店長も、年を重ねていく中で、ほぼ例外なく、共通の壁に直面します。
たとえば、5つの業態を、それぞれ1店舗ずつ展開している会社があるとします。 社長が若いうちは、この状態はうまくいきやすいものです。
理由はシンプルで、単純に楽しいからです。 新しいことに挑戦する高揚感、業態が増えていく達成感が、日々の原動力になります。
しかし、社長が10歳、年を重ね、各店長もまた10歳、年を重ねていくと、状況は変わっていきます。 それぞれが家庭を持ち始め、生活における優先順位も変化していきます。
そして、各店長にしか分からない、その業態独自の文化や、見えないノウハウが、少しずつ蓄積されていきます。
数年後、会社はどうなっていくのか このまま数年が経つと、次のような状態が現れやすくなります。
店長の給与に、上限が見えてくる 1店舗の規模である以上、店長として得られる給与には、自然と上限が生まれます。 キャリアアップを望んでも、その先に用意されたポジションがない、という問題が浮かび上がってきます。
近所での独立という選択肢が、現実味を帯びてくる
給与とキャリアの上限に直面した店長が、次に考えるのは、近所での独立という選択肢です。 これは、店長本人にとっては自然な選択でも、会社にとっては、その業態のノウハウごと、地域の顧客を失うリスクを意味します。
店舗の譲渡や、雇用形態の変更が検討され始める 場合によっては、店舗そのものを店長に譲渡する、あるいは雇用の形態を大きく変える、といった選択が検討されることもあります。 いずれの形を選んでも、そこには必ず何らかの問題が伴います。 これは、避けられるものではなく、1店舗多業態という形態を選んだ時点で、いずれ向き合うことになる構造的な課題です。
なぜ、この構造的な問題に気づきにくいのか
社員が、他業態をやりたいと言っている 意欲のある社員から新しい業態への挑戦を提案されると、経営者としては、その熱意に応えたいという気持ちが自然と働きます。
近所の店舗が空いたので、他業態を出してみたい 好条件の物件が空くというタイミングは、事業機会として非常に魅力的に映ります。
仕組みは進んでいないと分かっているけど、チャンスだと思ってしまう
仕組み化がまだ追いついていないという自覚があっても、目の前のチャンスを逃したくないという気持ちが、判断を先に進めてしまうことがあります。
これらはどれも、経営者として自然な反応です。 だからこそ、意識的に立ち止まり、数年先の構造を見据えて判断する必要があります。
進出するか、進出しないかを判断するために 中小企業が他業態へ進出する際には、次のような視点を持つことが重要です。
- その業態を、1店舗で終わらせるのか、複数店舗に展開できる仕組みとして設計するのか
- 店長として任せる人材の、数年後のキャリアパスをどう用意するのか
- 業態ごとのノウハウを、属人化させずに組織として蓄積する仕組みがあるか
- 進出しないという選択肢も含めて、冷静に比較検討できているか
いずれの道を選んでも問題は生まれますが、それを事前に想定しているかどうかで、対応の余地はまったく変わってきます。
まずは自社の状況を客観的に整理したい方へ
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仕組み化・組織改善の考え方 1店舗多業態の多角化経営を持続可能なものにするには、社長の若さや熱意に頼るのではなく、社長の仕事を仕組みとして整理し、時間的な余裕を生み出す土台を築くことが重要です。 社長の週10時間化ワークフローの考え方に基づき、現状の問題構造を理解したうえで、業態ごとの属人化を解消し、店長のキャリアパスを設計していくことで、多角化を持続的な成長につなげることができます。
こんな状態になったら、相談を検討すべき目安 以下に複数当てはまる場合は、自社だけでの判断に限界が来ている可能性があります。
- 社員から、新しい業態への挑戦を提案されている - 近所の空き店舗を見て、進出を検討している
- 仕組み化が追いついていないと分かっていても、チャンスを逃したくないと感じている
- 各店長のキャリアパスを、具体的に描けていない
■FAQ
Q. 1店舗多業態の展開は、避けるべきなのでしょうか。
A. 一概に避けるべきとは言えません。重要なのは、数年後に直面する構造的な課題を事前に想定し、それに備えた仕組みを設計しておくことです。
Q. 店長のキャリアパスは、どのように用意すればよいですか
A. 1店舗の枠にとどまらない役割(複数店舗の統括、新業態の立ち上げ責任者など)を、あらかじめ設計しておくことが一つの方法です。
Q. 業態ごとのノウハウの属人化は、どう防げばよいですか
A. 店長が持つ判断基準や運営ノウハウを、早い段階から言語化し、組織として共有できる形にしておくことが重要です。
Q. 進出しないという判断も、選択肢として現実的ですか
A. 現実的な選択肢の一つです。仕組みが整っていない段階での進出は、後になって大きな負担として跳ね返ってくることがあります。
Q. 無料説明会では、どのようなことが分かりますか
A. 自社の多角化における現状の問題構造を整理し、進出の是非を判断するための具体的な視点をお伝えします。
■まとめ
1店舗で他業態を展開する多角化経営は、始めた当初はうまくいきやすいものの、社長と店長が年を重ねるにつれて、給与の上限、キャリアアップの壁、独立や店舗譲渡といった、共通の構造的な問題に必ず直面します。 進出するにしても、進出しないにしても、この構造をあらかじめ理解したうえで判断することが、数年後の会社の姿を大きく左右します。
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